更年期から要注意!女性の生活習慣病
更年期は女性の体にさまざまな変化が起こりますが、注意したいのがこの時期から増えてくる生活習慣病です。
若い頃は低血圧だったという方も油断は禁物。
女性ホルモンが急激に低下する更年期は、女性は血圧や血糖値などが上がりやすくなり、生活習慣病のリスクが増大します。
生活習慣病という言葉は普段耳にしていても、どんな病気なのかよくわからないという方は多いかもしれません。しかし、生活習慣病を放っておくと命に関わる病気を引き起こすこともあり、注意が必要です。
生活習慣病を予防・改善し、更年期からの人生を健康に過ごすためにも、正しい知識を身につけましょう。
そもそも生活習慣病とは?
生活習慣病とはその名の通り、生活習慣が発症や進行に深く関与する病気のこと。偏った食事や運動不足、ストレス、喫煙、過度の飲酒など、好ましくない生活習慣が積み重なると発症する危険が高まります。
生活習慣病には糖尿病や高血圧、脂質異常症などがありますが、これらの病気は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、本人が気づかないまま進行し、症状を自覚する頃には重症化しているケースも少なくありません。そればかりか、脳卒中や心臓病など命に関わる病気を引き起こすこともあり、軽視できない恐ろしい病気なのです。
また、生活習慣病に関連して注意したいのが「メタボリックシンドローム」です。近年「メタボ」という言葉は一般にも定着しましたが、肥満や太っている人=メタボだと誤解されている方も多いのではないでしょうか。
メタボリックシンドロームとは内臓脂肪を前提として、高血圧、高血糖、脂質異常の3つのうち2つ以上を併せ持った状態です。これらの危険因子が重なると、動脈硬化を進行させ、命に関わる病気を招くリスクが一気に上昇します。つまり、メタボリックシンドロームとは死につながる病気が起こりやすい、危険な状態になっていることを示しているのです。
女性は更年期から一気にリスク上昇
更年期以降は女性の生活習慣病のリスクが一気に高くなるので要注意。
更年期を迎えるころから女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少します。エストロゲンが月経や妊娠、出産などに深く関わっていることはよく知られていると思います。しかし、それだけでなく、エストロゲンには、血管を拡張させる、糖の代謝をスムーズにする、総コレステロール値を下げるといった働きがあり、女性の健康を維持する重要な役割を果たしているのです。
そのため、エストロゲンが急激に低下する更年期以降は、血糖値や血圧、コレステロール値が上がりやすくなり、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満といった生活習慣病を発症する危険が一気に上昇することになります。
「今まで血圧や血糖値など気にしてこなかった」という女性もこうしたリスクを理解し、更年期を迎える前から生活習慣病の予防に努めることが大切です。
代表的な3つの生活習慣病
代表的な生活習慣病には、糖尿病、高血圧、脂質異常症があります。それぞれの病気の特徴を見ていきましょう。
糖尿病
血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなり、血液中の糖が増え過ぎた状態が慢性的に続く病気。血糖が過剰になると、動脈硬化を促進するほか、さまざまな合併症を引き起こします。
高血圧
血圧が高い状態が続くと、常に血管に負担がかかるため、血管の内側が傷ついたり、硬くなって動脈硬化が起こりやすくなります。
脂質異常症
血中のコレステロールや中性脂肪が増え過ぎている状態。血中脂質が多すぎると、動脈硬化を促進したり、血液中に血栓ができやすくなるため、脳梗塞など血管がつまる病気の原因になります。
生活習慣病を予防するには
すでに述べたように、生活習慣病は日頃の生活習慣が大きな要因となって起こる病気です。つまり、生活習慣を改めれば、十分予防できる病気ともいえます。
生活習慣病を防ぐためには、まず食事の管理が重要です。例えば、食事を抜いたり、食事の時間が不規則だと血糖値が急激に上昇する原因になります。1日3食を、栄養バランスにも気をつけて食べましょう。脂肪分や塩分、糖分の摂り過ぎは、コレステロール値や血糖値を上昇させたり、高血圧につながるので控えめに。
食事以外にも、運動不足やストレス、喫煙、過度な飲酒も生活習慣病のリスクを上昇させる要因です。病気を未然に防ぐには、こうした危険因子を取り除くことが重要です。
適度な運動を継続する
運動には血糖値や血圧を低下させたり、コレステロールや中性脂肪といった血中脂質をコントロールする効果があります。特にウォーキングなどの有酸素運動は、脂肪を効率よく燃焼できるので肥満の予防・解消にも役立ちます。
ストレスをためない
過度なストレスは血圧や血糖値を上昇させ、体の免疫力も低下して、病気にかかりやすくなります。自分に合ったリラックス方法を見つけて、上手にストレスを解消しましょう。
タバコを吸わない
ニコチンは血管を収縮させて血圧を上昇させ、動脈硬化を促進します。タバコを吸う方は禁煙し、受動喫煙にも注意してください。
お酒は適量を心がける
アルコールはカロリーが高く、肥満になりやすいほか、血圧や血糖値を上昇させたり、中性脂肪を増やしてしまうため、さまざまな生活習慣病のリスクを高めます。過度の飲酒は控えるようにしましょう。
また、生活改善に取り組みながら、年に1回は健康診断を受けることも忘れずに。定期的に自分の健康状態をチェックすることで、生活習慣病の早期発見・治療につなげることができます。
<参考>
太田博明『男と女でこんなに違う生活習慣病』講談社、2006年
日本生活習慣病予防協会・日本スポーツ健康連盟・辻学園監修『どう防ぐ?どう食べる?がよくわかる生活習慣病基本事典』コナミデジタルエンタテインメント、2006年
厚生労働省 e-ヘルスネット|メタボリックシンドローム
厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト|生活習慣病を知ろう!
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「[93] メタボリックシンドローム その対処法」
産経新聞社 メタボリックシンドローム・ネット
タニタ 健康のつくりかた「生活習慣病とメタボリックシンドローム」
一般社団法人日本生活習慣病予防協会
ファイザー 生活習慣病オンライン